10-11 UEFAチャンピオンズリーグ Final

2011.5.28 ウェンブリー
3
1-1
1
2-0
ペドロ(27分、チャビ)
得点
ルーニー(34分、ギグス)
メッシ(54分、イニエスタ)  
ビジャ(69分、ブスケ)  
メンバー
1 バルデス
GK
1 ファンデルサール
   
2 D.アウベス
  (88分 5 プジョル)
14 マスチェラーノ
3 ピケ
22 アビダル
DF
20 F.ダ シウバ
  (69分 17 ナニ
5 ファーディナンド
15 ヴィディッチ(C)
3 エヴラ
 
 
16 セルヒオ ブスケッツ
6 チャビ(C)
8 イニエスタ
MF
16 キャリック
  (77分 18 スコールズ
11 ギグス
25 L.バレンシア

13 朴 智星
 
 
10 メッシ
7 ビジャ
  (86分 15 Se.ケイタ)
17 ペドロ
  (90+2分 20 アフェライ)
FW
14 エルナンデス
10 ルーニー
   

        バルデス

アウベス  マスケ   ピケ  アビダル

        ブスケ

    チャビ     イニエスタ

        メッシ

   ビジャ       ペドロ

布陣
     ファンデルサール

ファビオ  リオ   ヴィダ  エヴラ

   キャリック  ギグス

バレンシア         朴智星

    チチャリート  ルーニー

sub
38 オイエル GK GK 29 クシュチャク
21 アドリアーノ MF DF 12 スモーリング
30 チアゴ アルカンタラ   MF 8 アンデルソン
9 ボヤン FW   24 フレッチャー
FW 7 オーウェン
D.アウベス
バルデス
イエローカード キャリック
L.バレンシア
レッドカード
ピント 出場停止選手
モントーヤ 戦線離脱中選手 ハーグリーブス

数字以上の圧勝劇

最高のファイナルでした。
いや〜、素晴らしい。
外はザザぶりの雨だけど、実に清々しい。
こんなに気持ちの良い朝は久しぶりだ。

もうね、書きたい事が山ほどあって長文&支離滅裂な文章になると思う。
毎度のことだろ、って。
まぁね〜。
でも今回は更に酷くなるかと。
もうテンションがおかしなってますからね。

さて、まずは試合前の話から。
普通にやれば勝てる、と思いつつ不安は離れず。
不安に駆られて2年前のファイナルを見直したり。
そして更に不安になったり。
何が不安かって、今回バルサ有利な下馬評なのが不安なんですよ。
挑戦者の状態、負けて当然な状態ならば、こんなに不安にはならない。
こんなに素晴らしいバルサが、もしタイトル獲れなかったらどうしよう・・・。
そう考えると不安になるのです。

2年前はユナイテッド有利でした。
ディフェンディングチャンピオンだったし、バルサは完全なる挑戦者でした。
イニエスタのミラクルシュートがあったのでテンション高めでローマ入りしたものの、国内2冠を達成して自信はつけてたものの、それでもチャレンジャーである事には変わりありませんでした。
それに前2シーズンの暗黒ぶりを考えたら、国内2冠+CL準優勝でも充分すぎる成功でしたから。

しかし今回は違います。
今回はバルサが王者の立場、そして国内で五月蠅いモウリーニョを黙らせる為にも是が非でも大耳は欲しかったのです。
ユナイテッドの試合は今季何試合かしか観てませんが、正直それほどの強さは感じなかった。
2年前の方が遙かに強い。
でもそれがバルサの勝利を後押しするわけではないのです。
強いと思われているチームが毎回勝つわけではないのです。
ユーベ×ドルトムントのドルトムントしかり、ミラン×リバプールのリバプールしかり、件のバルサ×ユナイテッドのバルサしかり・・・。
そうです、決勝では何が起こるのかわからないのです。
前半3点取られたのに数分で3点返したりとか、ロスタイムに2点取ったりとか・・・。
だから不安不安不安不安不安。

と、まぁそんな気持ちだったわけですよ。
失いたくなかったのですよ、大耳を。

かといって私に出来る事なんて何もありません。
現地にいれば、そりゃぁ声を枯らして応援しブラウグラナのユニを纏った選手達のチカラにもなれるでしょうが、大阪にいてますんでね。
迫り来るキックオフ時間。
もう祈るしかないのです。

そして注目のスタメン。
ユナイテッドは予想通りの11人。
フレッチャーではなくギグスを使ってきたのは、正々堂々と闘うっていうメッセージか?と勝手に勘ぐる。
一方のバルサ。
3トップと中盤3枚は不動なので、注目点はDFライン。
プジョルとアビダルがどうなるか、ってトコでした。
結果カピタンは外れ、アビダルはスタメンに。
カピタンの代わりはマスチェラーノ。
イングランドのチーム相手だからリバプールに居たマスチェラーノを使うべき、っていう意見がありましたが私は正直反対でした。
なぜならリバプール時代のマスチェラーノvsユナイテッドって非常に悪い印象しか残ってないんですよね。
だから何か不吉な予感がね・・・。
カピタンのコンディション面が微妙だったのなら、正直マスチェラーノしか代わりはいないしシーズン終盤の大活躍は見逃せないんですけど。
相手がユナイテッドじゃなかったらな〜、ってのが試合前のイメージでした。


それでは本編、いよいよ試合について。

立ち上がりはユナイテッドの攻勢が続きました。
2年前の立ち上がりほど圧倒されたわけじゃなかったけど、それでもユナイテッドのペースだった事は間違いない。
プレッシングは速く重かったし、なにより気合いがあちらこちらから感じられました。
はやくも朴智星は厄介な存在だな、と認識されましたし。

バルサとしては、この時間帯を如何に短くするか、如何に凌ぐか、って所だったと思いますが、結果的には上手くいきましたよ。
ユナイテッドのラッシュを耐えてからはバルサの時間帯。
そして結局それは最後まで続きましたから。
いやいやユナイテッドが点取った時間帯があるんじゃないかって?
確かに点は取られましたけど、あの時間帯にしてもユナイテッドが支配していたとは思えません。
こちらのつまらないミスもあったし油断もあったけど、主導権は渡してなかったからね。

バルサが試合を支配してからのユナイテッドの戦いぶりは良く言えば勇敢、悪く言えば無策でした。
予想通り正々堂々とガチンコで戦いにきてくれたユナイテッド。
マドリーのようにメッシに特定マークをつけたり、チャビとイニエスタを徹底的に(ラフプレーも交えて)潰しにきたり、なんて事は全くしてきませんでした。
だからMIX(Messi、Iniesta、Xavi)は自由にプレー。
かつて彼等に余裕を与え、それでもなお勝利したチームがあったでしょうか?
私の記憶ではありません。
そして今回もそれは変わりませんでした。

ユナイテッドの最終ラインの前には広大なスペースがあり、そこを好き放題にMIXが動き回る。
こうなったら、もうコッチのものです。
1点目、チャビの完璧なるスルーパスをペドロが完璧な動き出しから受け、フィニッシュもニアを破る完璧なシュート。
あれだけ余裕を与えられたチャビがパスをミスするなんて、考えられないからね。
2点目、メッシのとてつもないゴラッソ。
あんなに素晴らしい、記憶に残るミドルシュートがかつてファイナルの舞台で産まれたでしょうか。
これもDFライン前にスペースを与えてしまったが為のものでしょう。
そして3点目、エリア内に攻め入ったバルサがマイナスに落としたボール。
これをビジャが緩く巻くような芸術的なミドルでネットに沈めました。
これもレオの2点目同様に余裕を与え過ぎましたよね。

M.V.P.そろい踏みによる完璧なるフィナーレ。
感動とか、そんな陳腐な言葉では言い表せませんわ。

それはそうとユナイテッドも称えなくてはいけません。
前述したようにユナイテッドの守備に穴があったのは、ユナイテッドが攻撃的な姿勢を見せてくれたからに他なりません。
固めようと思えばいくらでも固める事が出来ます。
それがディフェンス、それが人海戦術ってもんです。
でもユナイテッドはやってこなかった。
そこが素晴らしい。
王者の誇りをもったチームでした。
試合に負けてもなお、プライドは捨てていない、そう感じました。
そこが現状ではモウリーニョとファーガソンの差かな〜。
試合後も完敗を認めてましたしね。
気持ち良いじゃないですか。
自らの戦術の事なぞ一切話さず注目点を審判にそらす事ばかりに腐心したモウとは試合後の気持ち良さが全然違います。
そういえばベンゲルも試合後(パリでの決勝後)は「エトーの点はオフサイドやった・・・」とか、そんな事ばっかり言ってましたよね。
こういう輩とファギーは一線を画してますわ。
今回スポーツの試合をした〜!!って試合後に思いましたけど、これが普通であるべきなんですよ。
モウリーニョ後なので新鮮に感じられましたけど、これが正常な筈。
オフサイドだとかハンドだとか買収だとか八百長だとか、ホンマに頭おかしいのか?と。
そんなんね、言い出したらキリないんですよ。
例えば今回のルーニーのゴール。
これVTRで厳密に観たら、ルーニーがギグスにパス出した時点でオフサイドでした。
でもね、それをゴチャゴチャ言うのは格好悪い。
いや誰も言ってないですけどねバルサが勝ったから。
でもたとえアレでバルサが負けてたとしてもペップは何も言ってなかったと思いますよ。
あとビジャがエリア内で手を使ったからPKや、とか言ってる奴いましたがこれはもうルールブック読め!と。
手で扱う意思がなかったんですからハンドではありませんので。

っていうような喧噪が今回マンチェスター発信で無かったのは非常に喜ばしい事です。
これがフットボールですよ。
ユナイテッドサポも負けたけど気持ちが良かったんじゃないでしょうか。
例えばファギーがギグス外してフレッチャーを使い守備的に闘って(その上で負けたり)たら、不満もあるやろうけど。
今季あれだけの活躍をし、いまや攻撃面でのスイッチとなっているギグスを外すとか(点を取る事を考えたら)ありえないからね。
粕谷氏はハーフタイムに「フレッチャーを使うべき」みたいに言ってたけど、最終的には目が覚めたのか試合後は完敗を認めてたし。
例えばチチャリートを外して2トップではなくルーニーの1トップとし、中盤にフレッチャーを入れて厚みをもたす戦術もあったかもしれません。
これなら3失点はなかったでしょう。
でもそれはやっぱりプライドが許さないでしょう。
ファギーからすればペップは青二才みたいなもんでしょ。
トップリーグの監督3年目ですからね。
20年以上やってる自分から見たらヒヨッコ中のヒヨッコでしょ。
そんな相手に自分達の戦い方を変える、相手に合わせた戦術を採る、なんて伝統と格式あるユナイテッドが、そしてそこに君臨するファギーが出来る筈もないですわな。
しかもファギーは2年前に負けてる。
そのリベンジもある。
ガッチガチに守ってカウンター1発、もしくはラッキーパンチ1発で勝ったとして、それがリベンジになるのか?
結果だけ観れば雪辱を果たした結果になるだろうけど、ファギーの中ではそんなもん無価値なんでしょう。
いつも通りに戦って、そして勝利する。
これ以外なかったんじゃないでしょうか。

下馬評通りの結果、バルサが強すぎて途中から興味が無くなった、なんて事をどちらのサポでもない人間は言ってますが、そうなったのはひとえにユナイテッドが真正面から来てくれたから。
こんな勇敢なユナイテッドと、それに応えるように持ち味を全て出し切ったバルサの激闘。
これは正直、歴史的なファイナルになったと思いますよ。
素晴らしく90分が速かったし、濃密でした。
第三者から観ればバルサが圧倒しただけの試合、って思えたかも知れませんがね。

勝ったから言える事だし、上から目線なのは理解してますがそれでも言いたい。
ユナイテッドはグッドルーザーでした。
そして「ストップ・ザ・バルサ」を考えてる面々にはユナイテッドのこの姿勢を見習って欲しい。
「ガチンコで言ったら為す術もなく負ける」って考えるんじゃなくて「負けたとしても勇敢に戦った方が美しい」っていう風にね。
でもそう捉えてくれる監督は少なそうやけどなぁ・・・。

というわけでバルサの完勝により、名実共に美しいファイナルとなりました。
最高の気分でした。
そして更にその気分を最高にしてくれる演出が。
何回観ても鳥肌が立ってしまう感動の瞬間、それが大耳授与です。
そんな大耳授与で今回サプライズが。
そうです、ビッグイヤーを掲げたのはカピタンプジョールでもなく、試合中の殆どの時間でカピタンマークを巻いていたチャビでもなく、そうアビダルーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!!!!!!!!
にくすぎるやろ、この演出。
これがバルサです。
これがバルサなんですよ。
こういう事が出来るチームなんですよ。

いや〜素晴らしい。
感動と、そして興奮をありがとうバルサ。
アビダルの腫瘍ニュースを聞いた時は絶望に苛まれましたけど、禍を転じて福となすとは正にこの事か。
よかったよアビダル。
そしてビスカバルサーービスカカタルーニャーーーー!!!!!!!
来年もやっちゃって、初のチャンピオンズ2連覇いっちゃえ〜〜〜〜〜。


P.S.スコールズが試合後に現役引退を発表しました。
ファンデルサールと共に、この試合が現役ラストマッチとなったわけです。
この試合の数日前に引退記念試合を行ったギャリー・ネビルもそうやし、昨季限りで引退してるニッキー・バットもやし。
1つの時代の終焉を感じざるをえません。
この試合ではイニエスタとユニ交換をし、試合後ずっと着てましたね。
似合っててんけどな〜。

P.S.のP.S.いくら私が圧勝、圧勝と言った所で説得力もあんまり無いですよね。
なのでたまにはデータも紹介。
まずシュート数が16(12)対3(1)。
()は枠内の数ね。
これだけでも結構なもんですがCKが6対0だった、ってのも一方的感を物語ってるでしょ。
ファウル数も5対16やしね。
オフサイド数が1対5やったってのは、チチャリートの無念さが伺えますね。

そして決定的な数字がボールポゼッションにまつわるもの。
まず支配率が63%対37%。
これはユナイテッドに失礼な言い方になるかもしれませんが、バルサからすれば「いつも通り」な数字です。
むしろ印象としては「やや低い」だったりもする。
ただ圧倒的だったのは確か。
それはパス本数のデータを見ると、もっと解りやすい。
バルサは772本のパスを出し667本が成功しています。
その成功率たるや86%。
ちなみにユナイテッドは、301/419で72%。
成功数なんて、倍以上ですからね。
素晴らし過ぎますよ。