05-06 UEFAチャンピオンズリーグ 決勝

2006.5.17 スタッド ドゥ フランス
2
0-1
1
2-0
エトー(76分、ラーション
得点
キャンベル(37分、アンリ
ベレッチ(81分、ラーション  
メンバー
1 V・バルデス
GK
1 レーマン
  (18分 退場)
   
23 オレゲル
  (71分 2 ベレッティ)
4 マルケス
5 プジョル(C)
12 ファンブロンクホルスト
DF
27 エブエ
28 トゥーレ
23 キャンベル
3 アシュリー・コール
 
 
15 エヂミウソン
  (HT 24 イニエスタ)
17 ファンボメル
  (61分 7 ラーション)
20 デコ
MF
19 ジウベルト・シウヴァ
15 セスク
  (74分  16 フラミニ)
7 ピレス
  (18分 24 アルムニア)
13 フレブ
  (85分 9 レジェス
8 リュングベリ
 
 
10 ロナウジーニョ
8 ジュリ
9 エトー
FW
14 アンリ(C)
   
          バルデス

オレゲル  マルケス   プジョル  ジオ

         エヂミウソン 

      ボメル      デコ

  ジュリ             エトー

         ロナウジーニョ

布陣
        レーマン

エブエ  トゥレ   キャンベル  コール

        ジウベルト

    セスク      ピレス

 フレブ            ユンベリ

         アンリ

sub
25 ジョルケラ GK DF 20 センデロス
16 シウビーニョ DF   22 クリシ
3 モッタ MF FW 10 ベルカンプ
6 シャビ     11 ファン ペルシ
オレゲル
ラーション
イエローカード エブエ
アンリ
レッドカード レーマン
出場停止選手
メッシ 戦線離脱中選手 ローレン
シガン
ディアビ

観戦レポ

いやもうホンマにお腹一杯やで。満腹です。それぐらい満足度高いです。優勝ですよ、優勝。ビッグイヤーですよ。
優勝を果たした明け方からかなりの時間が経っていますが今でもプジョルが大耳を掲げる姿が眼に焼き付いております。さてさてそんな決勝を簡単に振り返ってみますか。
まさに決勝、ファイナル、って感じの重厚な雰囲気のサンドニ。スタンドもピッチも選手もVIP席も、それぞれが決勝でした。最高の雰囲気です。カンプノウみたいに360度の人文字は出来なかったが、それでもクーレ達は「BARCA」の人文字を作っていました。良い感じです。
解説は川勝さん、実況は八塚さん、と個人的にもベストなタッグをスカパーも用意してきました。正に完璧な試合前。夜中っつうか明け方ですが全く眠くありません。
最高のアンセムが流れ終わり、いよいよキックオフ。
ガナーズはCL用のシステムでのいつもの11人。バルサもファンボメルの先発は意外でしたが、それ以外はベストな布陣。絶好調イニエスタか、直前のリーガでも90分フル出場しコンディションも戻って来たであろうチャビか、どちらかがボメルの代わりにスタメンだろうと思っていたのですが、まぁボメルでも悪く無い。実際悪くなかったし。メッシは予想通り間に合わず。どうしても必要ならば無理したら出れたやろうけど(チーム練習にも合流してるぐらいやしね)ジュリが最強にテンション上がってるし、ラーションも燃えまくってる今の攻撃陣に於いてメッシは「どうしても」という選択肢では無い。来季を見据えて無理をさせない、というライカーの判断は正解です。
さていきなりヒヤリとさせられたのは、やはりアンリ。抜群のトラップであっさりとマルケスを置き去りバルデスと1対1に。今思い出してもこのシュートをバルデスが止めてなかったら、と思うと・・・。でもこのシーンが試合に最後まで大きく影響しました。
アンリはこのシーンに象徴される様に、この後も最高の動きで多くの決定機を迎えるがネットを揺らす事はありませんでした。バルサディフェンスラインもこのシーンに象徴される様に、終始不安定。
アンリに軽くかわされるわ、ユンベリに豪快に突破を許すわ。オレゲルはミスが多く、マルケスもグダグダ、頼みのプジョルまでもが気合いが空回りしている印象で、ジオに関してはあまり守備に絡んでいない。
そんなバルサディフェンスを救ったのがバルデス君だったのです。
0-1とリードされてから同点に追いつくまでに迎えた数々のピンチ。その1つでも決められていたら歓喜の瞬間は無かったでしょう。最後の砦バルデス君のビッグセーブは非常に大きかった。
逆にビッグセーブを出せないままパリを去る事になったのがレーマン。無失点記録を継続してる中での退場劇。でも1発退場に値するファウルであった事は確か。個人的にはイエローカードで済まし、ジュリのゴールはカウント、ってのが理想やったけどね。やっぱり11人vs11人の試合が観たいじゃないですか。
数的有利、不利ってのが結果に大きく左右する事はデータで見てもそんなにある訳じゃないけど、やはり数が減った方のチームが採れる戦術は限られてきますからね。守備中心になっちゃいますよ。それにこの試合の場合はその後セットプレーからキャンベルのヘッドで先制した事によって、ガナーズは無理に攻撃する必要が無くなりましたからね。
ただこういう展開になったからこそドラマが産まれたし、観てるコッチとしても楽しかった。やっぱりバルサが先制して1-0で守りきる、なんて試合展開は正直願い下げですからね。鉄壁の守備を更に堅くし逃げ切ろうとするガナーズに対して、それを打ち破ろうと最高の攻撃力で立ち向かうバルサ。こういう構図がやっぱり熱狂を産みますよね。
それにガナーズ攻撃陣は「カウンター」にもってこいの陣容だったし。ピレスがいなくなったのは残念ですが、アンリ、ユンベリ、フレブってのは正にうってつけの役者達。前述したように0-2になる要素はいくらでもあった。
だからこそエトーのゴールが決まった時は一気にボルテージが沸点に達した。ベレッチのゴールはそのままの勢いが産んだとも言える。一気に畳み掛けれる強さがバルサにはある。
そしてどちらもファインゴールだったのがバルサのバルサたる所以です。イニエスタ→ラーション→エトーと繋がった同点ゴール。最高やったね。イニエスタのパスも最高だったし、ラーションの楔も最高、そしてエトーのフィニッシュも最高。
特にラーションね。柔らかく、優しく、エトーの足下へピッタリと収まるボールを供給しました。ディフェンスを背負いながらの後方へのパスなので簡単ではありませんが、この大舞台でも難なくやってのけました。頼りになるベテランです。
そしてエトー。信じて走っていたエトー。角度の無い所からのシュートなので入らない確率の方が高い。しかしそれでもエトーは冷静でした。最も狭いニアへ!アルムニアの動きを見切って流し込みました。
こんなファインゴールに対して「オフサイドだ」なんて試合後に言っているベンゲルには正直幻滅です。スローVTRで見てもホントにどちらとも判定出来るギリギリの所、しかもディフェンスを背負っているラーションの「ワンタッチ」は丁度ラインズマンからは見えない所。つまり触ったのか、スルーなのかが見えない所です。スルーだったとしたら議論の余地も無い完全なるオンサイドですからね。と、こんなスローVTRで見ても判断しかねる様なプレーを一瞬で判断しないといけないんですから、これは誤審とは言えないでしょ。それよりも美しいゴールを称えましょうよ、ベンゲル。ピッチ上での選手達の振る舞いの方が遥かに上でしたよ。特に抗議もしてなかったしね。
さて同点に追いついたバルサ。残りは約15分。この時点で私は勝利を確信しました。同点に追い付いた安堵感が襲ったのと同時にね。これは勝てる。これで勝てると。最早バルサの勢いを止めれる筈もありません。世界最高の攻撃陣から焦りが消えたのですから何も心配する事はありません。
そんな最後の仕上げがベレッチだった事もまた嬉しい事の1つです。最後の最後でやってくれましたよ。またしても光ったのはラーション。ベレッチの縦パスにギリギリの所で追い付くと、そのギリギリさを利用しました。つまりギリギリのプレーだった事によってマーカーのキャンベルをも吊り出す事に成功したのです。つまりキャンベルのオリジナルポジションは空きスペースに。そしてそこを逃す筈も無いブラジリアンラテラル。爆発的なフリーランニングでゴール前へ突進するベレッチ、そのベレッチに対するラーションの完璧なアシスト。
ぶっちゃけシュートはマグレでしょ。正直思いっ切り打っただけやろうけどね、角度も無かったし、上手い具合にGKに当たったし。しかしそんな事は問題無いのです。それまでの組み立てが奇麗だったしゴールの可能性がある強いシュートを選択したのはベレッチ本人だし。ゴール後の泣き崩れるベレッチの姿を見るにつけ、この1年がフラッシュバックされましたよ。
残り時間はまだ10分あり、この日のバルサディフェンスの出来とアンリの出来を天秤にかけると、これはもう完全にアンリです。残り10分でアンリが仕事をする可能性は果てしなく高かった。でも私は勝利を確信していた。もうこれ以上のドラマは産まれないよ、と。その想いはベンゲルが最後のカードにレジェスを選択した時により強固になりました。
ベルカンプを出さないならドラマなんて無い。最も恐れていたのはベルカンプでした。この日のラーションの活躍が証明する様に、こういう大舞台でやはりベテランのチカラは欠かせない。しかもベルカンプは現役ラストマッチです。つまり出れば引退試合。しかもCLファイナル。ベルカンプにとって最高の結末にする事は彼自身のチカラがあれば十二分に可能だったのです。バルサラストマッチのラーションの大活躍。現役最後のベルカンプはラーション以上に懸ける想いがあった筈です。
もしバルサが優勝出来なくてもベルカンプの活躍でガナーズが優勝するならそれはそれで良い、そんな風にバルセロニスタの私でも試合前に思っていた程です。まぁベルカンプ好きやからね。でもベンゲルがそれを放棄したのならば最早アーセナルにロンドンへの土産はありません。
私自身も何の迷いも無く最後のホイッスルを聞けました。
01-02シーズン悪夢のユーロクラシコ。その敗戦をキッカケにこのサイトは立ち上がった。それから4シーズン目。02-03は再び悪夢をカンプノウが襲った。延長の末ユーベに苦杯。03-04はあろう事かバルサは不参加。そうCL圏にすら入れないシーズンを送ったのだ。この時期が底。ロナウジーニョ、ラポルタ、エトー・・・。今更書くまでもないバルサの復活物語。昨季はリーガを勝ち取った。しかしCLではチェルシーに辛酸を舐めた。個人的にも最大級の敗戦のショックが襲った。そして今季。それら全てを一掃した。クラシコではベルナベウで喝采を浴びるまでになり、チェルシーにはリベンジを果たし、ミランにも結果でも内容でも競り勝った。リーガでは2連覇。CLと国内リーグの兼務に苦しむチームが多い中での価値ある連覇。そして2冠。頂点に上り詰めた瞬間です。チャンピオンズリーグを追い続ける中で最も夢見た結果です。
日本では朝の日差しが、そしてフランスでも土砂降りの雨は計算されたかの様に上がった。ブラウグラナのカピタンが大きな耳を掲げる姿には一点の曇りも無かった。

興奮度:90%

MOM:ラーション