04-05 UEFAチャンピオンズリーグ Final

2005.5.25 アタテュルク オリンピヤット スタジアム
3
3-0
3
0-3
0-0
0-0
2-3
マルディーニ(1分、ピルロ
得点
ジェラード(54分、リーセ
クレスポ(39分、シェフチェンコ スミチェル(56分、ハマン
クレスポ(44分、カカ シャビアロンソ(60分)
メンバー
1 ジーダ
GK
1 デュデク
   
2 カフー
13 ネスタ
31 スタム
3 マルディーニ(C)
DF
3 フィナン
  (HT 16 ハマン)
23 キャラガー
4 ヒーピア
21 トラオレ
 
 
21 ピルロ
8 ガットゥーゾ
  (112分 10 ルイ・コスタ)
20 セードルフ
  (86分 27 セルジーニョ)
22 カカ
MF
8 ジェラード(C)
14 シャビアロンソ
10 ルイスガルシア
6 リーセ
7 キューウェル
  (23分 11 スミチェル)
 
 
7 シェフチェンコ
11 クレスポ
  (85分 15 トマソン
FW
5 バロシュ
  (85分 9 シセ
   
         ヂダ

カフー  ネスタ   スタム  パオロ

        ピルロ  

   ガッツゾ     セドルフ

        カカ

   シェヴァ    クレスポ

布陣
          デュデク

フィナン  カラガー   ヒーピア  トラオレ

     ジェラード   シャビアロンソ

 ガルシア             リーセ

      キューウェル          

            バロス

sub
46 アッビアーティ GK GK 20 カーソン
4 カラーゼ DF DF 17 ホセミ
5 コスタクルタ   MF 18 ヌネス
24 ドラソー MF   25 ビスカン
イエローカード キャラガー
バロシュ
レッドカード
出場停止選手
アンブロッジーニ 戦線離脱中選手 シナマ=ポンゴユ
カークランド
ネイル・メラー

観戦レポ

決勝戦ってのは期待に反してつまらない内容な場合が多いんですが、今回は決勝ならではの試合をみせてくれました。
試合前の下馬評はリバプール寄りでした。総合力で考えると、どう数値化してもミラン有利なんですが、リバプールは常に「負ける」と予想されていたユーベ、チェルシーを倒してきた勢いを買われていました。
逆にミランはスクデット争いに敗れてから完全に勢いが無く評価を下げるばかり。確実に決勝に照準を合わせていた為に勝てなかった側面があるもののマイナス材料として判断されていました。
そんな中でファイナルスタート。
開始1分いきなりマルディーニ先制!そしてそのまま完全に試合を支配し3-0の大量リードでハーフタイムへ。
この時点では日本で生で観ていた人は後半確実に寝てしまう事を心配したのではないでしょうか?
それ程までにミランが内容でもスコアの上でも圧倒していました。やはり選手の質、経験値が全然違い過ぎるって思いましたね。
レッズは伝統だけなら負けませんが、実際ピッチの上の選手のビッグマッチ経験数は圧倒的に劣ります。それが出たかな、と。やっぱり決勝戦って特別なのかな、と。
細かく整理すると、「トラオレの所を狙う」っていうのが徹底されてましたね。誰が観てもそこが穴ですから。
実際いつも以上にガチガチで全く良いプレーを出せず。開始1分で好位置でセットプレー与えちゃったのも頷けます。
これをパオロに合わせたピルロも流石やし、マルディーニってのはこういう大勝負のゴールが非常に似合いますね。
レッズは更にキューウェルの早期負傷退場で流れを掴めません。
私はキューウェル好きですけど、この試合では使うべきじゃなかったと思うんですよね。結果論じゃなくってね。
確かにハマればスーペルな選手だし、今までそういうのを示して来たけれども決勝ラウンド入ってからのレッズはキューウェル無しの4-2-3-1的なシステムで結果を出してきてましたから、そういう良いリズムを崩すべきじゃなかったと思うんですよね。
実際前半のレッズはヨソイキのサッカーで観てても凄い窮屈そうだったじゃないですか。
敢えて変えたいと思うほどにミラン、決勝っていうプレッシャーがベニテスの中で大きかったのかもしれませんがね。
中盤でカカーを全然見れて無い時間帯が続いたレッズは必然的にチャンスを沢山作られ、失点を喰らいます。
カカーのチャンスメイクとクレスポのシュート技術とシェヴァの好連携とで2点を追加します。
内容から考えると前半3失点ってのは収まった方ですよね。もっと取られててもおかしくなかった。
完全に試合は完結したと思いました。
が、後半レッズが「奇跡の7分間」を魅せてくれます。
後半から予想通りハマンを出して来ましたが、まだ開始直後はミランペース。
この時間帯に失点を喰い止めれたのは勝因のひとつでしょう。
そしてジェラードのヘディングから奇跡の幕が開けます。
前半最強の強さをみせていたスタムの前にぽっかりと空いた空間。そこを突いたジェラードのヘッド。
油断としか説明のしようがありません。初めて盛り上がる所が来たので大騒ぎする「ホームスタジアム」。
予想通りミラニスタよりも大勢のレッズサポが海を渡ってトルコまで来てました。スタジアムは赤一色。ミランも赤なので分岐点が定まらないのが残念ですが。
スミチェルのミドルシュートとかシャビアロンソのPK失敗からのPUSHとか、もう勢い以外に説明がつきません。
昨季のデポル戦とか今季のPSV戦とか、こういう試合をするのがミランのミランたる所以ではあるけれども、決勝の舞台でこれが起きるとは想像出来ませんでした。
レッズの同点の要因は、ひとえにジェラードを前に置いた事。これにつきますね。っていうか最初からこの布陣で行くべきだったんですよ。上にも書いたけど。
レッズが同点に追い付いた時点で残り時間は30分。勢い的には逆転もありえた話でした。
しかしそこはミラン。そう簡単にそれは許しませんし、実際120分トータルで考えても内容的に勝ってたのはミランだったし。
本当にミランとしては説明のつかない突如起こった「魔の7分間」だったでしょうな。
さてとんでもなくおもしろい試合となった訳ですが、どうしてもペースが落ちます。そりゃ120分間もこんな展開が続く筈が無いですもん。
勿論両チームともにシーズンの最後なんで疲れも溜まってるしね。
延長、PK戦も視野にいれる展開の中でここでも選手層の厚さをみせたのはミランでした。
一番活躍したのはセルジーニョ。
彼を投入された事によってベニテスはジェラードをセルジーニョのマーク役につけます。
これでレッズは攻撃が出来なくなりました。セルジーニョは単なるカウンターサイドアタッカーってだけでは無く最高のディフェンダーとなった訳です。
ジェラードはジェラードでセルジーニョを抑える場面が目立ったし、そんな彼の活躍を観て「ベニテスの采配が素晴らしい」と観る見方もあるでしょう。
しかしディフェンスってのは89分抑えてても1分で仕事されたら下を向かなくてはいけないポジションです。
ジェラードは実際何度もセルジーニョの突破を、クロスを止めてましたが決定的な仕事をさせてしまったのも事実。
ただシェヴァが決めれなかったので、っていうかデュデクの神セーブにあったので結果オーライですがセルジーニョはヒーローだしアンチェロッティは誰からも名采配って言われただろうからね。
だって延長のレッズの攻撃なんてシセにボールが渡っても1人ぼっちだからそこから何も発展しませんでしたからね。
そんな感じで相手に助けられた感じでスコアレスのまま勝負はPK戦へ。ルイコスタをもっと長い時間使えばミラン勝てたと思いますが。
こうなってくると追い付いたレッズの方が精神的に優位だし、なんといってもここはホーム状態ですから。
単純にGKだけを比べてもPKストップに定評があり、この試合でも1本止めてるヂダの方が落ち目のデュデクよりも数段上。
キッカーも経験、精神力、実際にPKを決めてる率から考えてもミランの方が上。
レッズは21年前にPK戦で優勝を決めてますが、ミランは2年前。その時に蹴ったキッカーも殆ど残ってます。
それでもレッズが勝つ予感はしてました。デュデクの動きを観た時、その自信は揺らぎましたが、なんと結果オーライ。
ピルロもシェヴァも普通なら決めれる筈なのに、プライドをくすぐられて緩々シュートで嘲笑うかの様に決めてやろうとでも思ったんですかね。
それが裏目に出た格好でした。
レッズが21年ぶりの優勝。古豪復活!な〜んて声も聞かれますが、まだまだ発展途上のチームです。今季のチームが総合力でミランやバルサやバイエルンやユーベやチェルシーやリヨンやPSVを上回ってるとは今でも思えません。
トーナメントを勝つ為のサッカーを非常に上手くやり結果を残しましたが、それはリーグ戦では出来ないのでプレミアでは5位に終わりましたよね。
実際この「プレミア5位」って位置づけが客観的に観たレッズのチーム力の全うな評価だと思います。
それでも勝ったのは事実だし、「強いチームが勝つのでは無く、勝ったチームが強い」って言葉もあります。勝つ事によって歴史も作られますし、チームも強くなります。
つまり来季は今季以上に期待出来るって事ですよ。何より世界最高のサポーターは今までもこれからもず〜とついて来てくれます。
おめでとう、レッズ!ジェラードがビッグイヤーを掲げた瞬間は鳥肌が立ったし、何より本当に嬉しかったよ。

PK戦の結果
セルジーニョ × ハマン
ピルロ × シセ
トマソン × リーセ
カカー スミチェル
シェヴァ ×    

満足度:90%

MOM:キャラガー