■試合前の状況
決勝がマドリーデルビーとなった、今季のCL。
同国対決でのファイナルは過去もあったけど、「同じ街」同士での対決は史上初なんだとか。
まぁそらそうやわな、歴史を考えても。
Ligaでは終盤思うような成績を残せなかった両チーム。
それぞれ優勝争い真っ只中の試合で、CL準決勝以降の成績は、マドリー1勝2分1敗、アトレティコ2分1敗。
やはりシーズン終盤になって、蓄積された疲労が足を止めたんでしょうな。
それと優勝へのプレッシャーか。
普通は優勝争いしてるチーム達は終盤戦勝ち続けてお互いに牽制し合うのですがね。
バルサも含めた3チームは、勝ち点を落として延命を続けるという珍しい展開に。
ま、そんな中でアトレティコは優勝を決めて今日の試合に臨んだので気分は良いでしょう。
ちなみに今季の両者の対戦成績は、(アトレティコから見て)Liga1勝1分、コパ2敗でした。
■またもジエゴコスタ。。。
怪我人の動向が心配されてもいた試合でした。
マドリーはロナウド、アトレティコはジエゴコスタという両エースが、それぞれ出場を危ぶまれていたのです。
いざ蓋を開けてみれば、両者共にスタメンに名を連ねていました。
役者は揃った、かに見えたがジエゴコスタは開始10分も経たずに戦線離脱となってしまいました・・・。
バルサ戦に引き続き、悪夢再びです。
う〜ん、試合と練習は別物と言うけど何回もこういう事が繰り返されると医療部のGOサインがどうだったのかと疑うレベルです。
実際誰が決断したのか知りませんがね。
んで、後述するけどロナウドも駄目駄目やった。
結局フルタイム出場したけど、見せ場はセットプレーのみでピッチ上からは消えまくってた。
「大事な試合で消える」ってのは、いつものロナウドでもあるけど今日に関しては怪我の影響やろうな。
シャビアロンソの出場停止の影響で、大怪我から復帰したばかりのケディラが先発でしたが彼も輝けず途中交代。
やはり万全な状態でないと、このレベルで闘うのは厳しいという事でしょうか。
ロナウドやジエゴコスタ級の選手であってもね。
■アトレティコ先制
試合自体の展開はアトレティコペースで進んでおりました。
マドリーに程良くボールを持たせつつ、自分達の守備ブロックは崩さず、隙を狙う戦い方。
そう、バルサがやられたパターンですね。
でもやっぱり攻め手には苦労しておりました。
最近の試合ではCKからのカベッサでしか得点出来ておりませんが、それだけ苦しい状態という事です。
ジエゴコスタを失えば、それに拍車が掛かるのは尚更。
こういう舞台でグアヘに活躍してほしかってんけどなぁ・・・。
って事で、予想通りアトレティコの得点はCKから産れました。
今回はCK崩れではあったけど、いずれにしてもセットプレーである事に変わりはありません。
これしかない武器やったけど、それが成功したのですから士気も上がった事でしょう。
■カシージャスの失策
この場面、残念だったのはイケルが判断ミスした事。
ゴール前にフワッと上がったルーズボールに対して、一瞬飛び出したもののミスに気付いてバックステップ。
だが時既に遅しで、ゴディンが競り勝ってしまい威力の無いヘディングシュートでしたがゴールラインを割ってしまいました。
飛び出すタイミングを誤ってさえいなければ、難なく処理出来たボールだったのでGKが責められるのはヤムナシですね。
今季不遇のシーズンを過ごしたカシージャスだけに、こういう晴れ舞台で大活躍してほしかったんですよ。
別にマドリーに勝ってほしくは無かったけど、カシージャスには活躍してほしかった。
スタメンを外されていたのは、政治的な圧力によるものだと全世界に証明してほしかった。
だが結果的には過失を大々的に見せてしまう事になりました。
10のパラドンよりも1つの失点が目立ってしまうのがポルテーロというポジションの悲しいところですわ・・・。
■それぞれの交代策
前半はアッレティリードで折り返し。
勝負の後半戦、時間が経過するにつれ指揮官達はそれぞれ動きました。
とは言ってもチョロの交代は実質ソサだけやったけどね。
前述したジエゴ・コスタに加え、フェリペ・ルイスも怪我による交代やったから。
アンチェロッティは色々考えたと思います。
まずは2枚替えというショック療法を敢行。
ベンチの攻撃カードはイスコとモラタだけだったので、彼等をどう使うのかというのがポイントでした。
で、最初に切ったのはイスコとマルセロ。
コエントランより攻撃的な左SBと、ケディラよりも攻撃的なインサイドハーフを入れました。
ケディラの位置にはモドリッチを1列下げ、「前掛かりで行くぞ!!」というメッセージを伝えましたね。
コエントランは殆どオーバーラップしてなかったからなぁ。
右のカルバハルが何も考えずに上がりまくってたからバランス取ってたんやろうけど(苦笑)
そして最後のカードはモラタ。
彼をどうするか。
DFを削って、単純に前線の枚数を増やすか。
それとも前線の誰かと代えるか。
選択肢としてはベンゼマかロナウドだったと思います。
どちらも怪我上がりの影響で、全くと言って良いほど存在感が出せてなかった。
ベイルはそれなりにやってたし、ディマリアは攻撃の中心やったからね。
ベンゼマかロナウドか、ネームバリューに囚われず今日の出来だけ考えたらロナウドが代えられるべきだったでしょう。
ですがアンチェロッティも所詮人の子。
無難にベンゼマに代えてモラタを最前線に投入しました。
■ロスタイムの同点劇
時間の経過と共に防戦一方となったのはアッレティ。
ちょっとライン低すぎるよな?という心配ばかりが募る時間が長く続きました。
もうマルセロなんて殆ど左WGやったよね。
守ってても誰も攻めてこないやから、その判断は正解やったと思うし、それが更なるマドリーの攻めの分厚さに繋がっていました。
それでも崩せそうで崩れないシメオネ・アッレティ。
ただファウルが増え、イエローカードが増え、CK、FKが増え、どんどん首は絞まっていってる感じだった。
後は時間との戦いでしたね。
90分を終え、限界はとうに来ていたと思う。
ロスタイムは何分あるのか、3分ぐらいなら耐えられる筈だ!と思っていました。
5分の表示でした。
ロスタイムは5分。
そんなあったか??
ファーギータイムならぬ、マドリータイムか!?
UEFA的にはマドリーに優勝してほしいんか?ってドログバなら言うやろうな。
5分はキツイ、乗り切れないかもしれない、と思っていたら案の定やられました。
CKからセルヒオラモスのカベッサがズドーーーン。
遂に決壊したなぁ・・・。
う〜む。
この時点でスコアは同点。
だがしかし、勝負が決したのは誰の目にも明らかでした。
■再び130億円の男
最早PK戦に持ち込むぐらいしか勝機が無いように見えたアッレティ。
そんな彼等に延長の30分は、あまりにも長過ぎましたよ。
延長前半は何とか乗り切りましたが、後半遂に資金力の違いを見せつけられます。
バルサとのコパファイナルに続き、またも試合を決めたのはギャレス・ベイル。
天文学的数字となった移籍金に見合う選手である事を、またしても大きな舞台で証明してみせました。
いや〜、あの背筋力、あのバネね。
簡単に押し込むだけのヘディングに見えたとは思いますが、延長後半のあの時間帯にあれだけのキレがあるというのがね。
流石ですわ。
結果的には安い買い物になったかな?
ま、もっと安い買い物だったのは、お膳立てしたディマリア。
かつてのホームグラウンドで輝きましたね〜。
バテバテフラフラのアッレティDFをゴボウ抜きしてのシュート。
この場面以外にもドリブルは冴え渡り、アッレティDFは最大限の苦労をしておりました。
ロナウドが消えててもディマリアがおるもんなー。
アンチェロッティの事は、あんまり認めたくないけどディマリアのインサイドハーフコンバートは大成功やったね。
中央の仕事だけじゃなく、外に開いた時にも活躍出来るという点で非常に汎用性が高い。
ディマリアがもたらしたタイトルと言っても過言では無い活躍でしたよ。
MVPや、MVP。
■燃え尽きた後の2失点
2-1となってからも、まだ約10分時間は残っていました。
しかしながら、アッレティにスコアを取り戻す気力は残っておらず、むしろされるがままに失点を重ねてしまいました。
マルセロの得点なんて、ドリブルにも誰も付いていけず、シュートの時も緩々。
ロナウドのPK献上も、なし崩し的ファウル。
「切れた」後は、こんな感じになるわなぁ・・・。
んでもって、ロナウドがPK決めた後にユニ脱いでゴールパフォしてる写真がニュースサイトのTOPを飾ってるのが、なんともなぁ(苦笑)
試合観てなくてもあれだけ見たら「ああロナウドやっぱり凄いんや」ってなるわな。
実際は今日の試合何もしてないんですけどね。
MVP級の活躍したのはディマリアやけど、彼じゃフォトジェニックじゃないもんなぁ。
■残念な出来事
結果的には4得点のゴレアーダとなったのですが、その中で調子に乗ってしまった若者が1人。
はい、ヴァラン君です。
悪ノリが過ぎてアッレティベンチにボールを蹴り込んでしまいました。
これに激怒したのが我等がシメオネ。
ワントラップからボールを蹴り返すと、ピッチに雪崩れ込みヴァランを殴りかからんばかりの勢いに。
負けてるチームが乱闘騒ぎを起こすのは「負け犬の遠吠え」みたいで、基本的に格好悪いとは思ってます。
でも今回の件に関しては100%ヴァランが悪いし、シメオネは指揮官としてキレなければいけない場面でもあった。
あそこで黙ってるのは「闘将」の名が廃る。
ヴァランに「試合終わってからツラ貸せや、ゴラァ!!」みたいな剣幕で色々言ってましたが正直怖すぎやったわ(´Д`)
ヴァラン泣きそうな顔してたけど、そらそうやでな。
組事務所に連れてかれそうな勢いやったもんな。
まぁね、試合後チョロも「ヴァランは有望な選手やねんから、過ちに気付いてほしい」言うてましたけど、その通りなんですよ。
折角の才能を悪い方に使っちゃうとペペみたいになるよ。
※そういう意味ではペペといい、セルヒオラモスといい、アルベロアといい、マルセロといい、コエントランといい、人間的に見本となるような選手がDFラインに1人もおらんな・・・
■総括
ま、色々ありましたが結果はマドリーがコパとの2冠を達成。
史上最多10度目の栄冠となりました。
アンチェロッティは手腕を全く褒められないけど、昨季モウリーニョに崩壊させられたチームを1年で良く立て直したと思いますよ。
個人的に好きなスタイルじゃないので、そこは認められないし、褒める事も共感する事も出来ないけど。
ただ「結果」を残したのは純粋に素晴らしいと思う。
※つまらないフットボールで結果残せない人も一杯いますからね!同じ就任1年目でも青いチームに出戻った誰かさんとは違いますわ〜
えっと、脱線してしまった。
アッレティは、最後の最後もうちょっとライン上げる勇気が欲しかったけど、それは要求過多かな。
勿論ここまで非常に良く頑張ったとは思うけど、最後の最後引きまくったのは残念やったね。
お互い体力も気力も限界の総力戦だったので、あまり酷な事は言えませんが。
純粋に第三者が観て、もしくは今日初めてヨーロッパの試合を観た、っていう人はどう感じたんかな〜。
個人的には見所が結構一杯あって楽しめたけど、それは色々と事情を知ってるからであって決してエンタメ度抜群の試合では無かったからね。
という訳で結論としては、やはりバルサがこの舞台に帰ってきて、「初めて観た」っていう人の目を丸くさせたいなと思った次第であります。