10-11 UEFAチャンピオンズリーグ R-16 2nd leg

2011.3.8 カンプ ノウ
3
1-0
1
2-1
メッシ(45+3分、イニエスタ)
得点
O.G.=ブスケツ(53分)
チャビ(69分、ビジャ)  
メッシ(71分、PK)  
メンバー
1 バルデス
GK
53 シュチェスニー
  (19分 1 アルムニア)
   
2 D.アウベス
16 セルヒオ ブスケッツ
22 アビダル
21 アドリアーノ
  (90分 19 マクスウェル)
DF
3 サニャ
20 ジュルー
6 コシエルニー
22 クリシー
 
 
14 マスチェラーノ
  (88分 15 Se.ケイタ)
6 チャビ(C)
8 イニエスタ
MF
2 ディアビ
19 ウィルシェア
7 ロシツキー

  (73分 23 アルシャビン)
4 セスク(C)
  (78分 52 ベントナー
8 ナスリ
 
 
10 メッシ
17 ペドロ
7 ビジャ
  (82分 20 アフェライ)
FW
10 ファン ペルシ
  (56分 退場)
   
         バルデス

アウベス  ブスケ   アビダル  アドリ

         マスケラノ

      チャビ     イニ

          メッシ

    ペドロ        ビジャ

布陣
       シュチェスニ

サニャ  ジュル   コシエルニ  クリシ

     ディアビ  ウィルシェア

 ロシツキ    セスク    ナスリ

       ファンペルシ

sub
13 ピント GK DF 18 スキラチ
18 G.ミリート DF   27 エブエ
30 チアゴ アルカンタラ MF MF 15 デニウソン
9 ボヤン FW FW 29 シャマフ
イエローカード サニャ
コシエルニー
ファン ペルシ(×2)
ウィルシェア
レッドカード ファン ペルシ(Y×2)
ピケ 出場停止選手
プジョル 戦線離脱中選手 ファビアンスキ
ヴェルメーレン
ウォルコット
ソング

シュート0の衝撃

やってまいりましたリターンマッチinカンプノウ。
一応勝ち上がり条件をおさらいしておきますと、バルサは1-0以上の勝利で次のラウンドへ進めます。
1st legが2-1でアーセナル勝利だったので、今回2点以上のアウェイゴールを奪われてしまうと2点差をつけての勝利が必須となってきます。
逆にガナはアウェイゴールを2点以上奪っての1点差負け、もしくは引き分けでも突破が出来る。
勿論勝てば点差に関わらずベスト8です。
2-1でバルサが勝った場合のみ延長戦ね。

と、まぁ条件面だけ書くと五分五分の状態とも言えますよね。
先勝したアーセナルにしてもアウェイゴールを奪われた事がネックだし、バルサからすれば得意のホームで勝てば良いだけとも言えますが「引き分けすら許されない」とも言えるので。
つまりどっちに転ぶか判らない試合です。
昨季は、このカンプノウそしてエミレーツでもボッコボコにしてやったガナですけど、それはあくまでも昨シーズンの話。
今回の「第4ラウンド」で、最後にベンゲルが笑う結果になったとしても不条理な事は何もないのです。

バルサにとって試合前の懸念点は両CBが出られない事。
結局カピタンは間に合わず、ピケは出場停止です。
それ以外は"ベスト"なメンバーがスタメンに名を連ねましたが、守備の要でもあるポジションなので不安が頭をよぎります。
この状況を見越して3バックやら、ブスケのCB起用やら色々試してきたペップですが、最終出した結論はブスケ&アビダルのコンビでマスチェラーノをピボーテ起用する、というものでした。
この決戦の日までに結局ミリート元帥はペップの信頼を勝ち取る事が出来ませんでした。
マクスウェルが若干怪我持ちらしくスタメンを外れたので、アビダル左SBで元帥をブスケと組ませてCBという選択肢もあり得るかと思ったのですが、アドリアーノとの天秤でも元帥は劣っていたようです。
これで来季放出は間違いないやろうね・・・。
好きな選手なので、シーズン終盤の巻き返しを期待したいですがチャンスすら無さそう。

という訳で、バルサのシステム及びメンバーは最強の4-3-3と前述した2人を除くベストな感じでの構成となりました。
一方のガナはというと、こちらも試合前は色々と欠場者情報が溢れておりました。
やれファンペルシーが1ヶ月OUTだの、やれセスクもウィルシェアも怪我持ちだの。
ところがどっこい皆さん元気にスタメン出場です。
ウォルコットの情報だけはホントだったみたいですけど、まさかここにきてベンゲルが「アジジ作戦」を仕掛けてくるとはね。
ぶっちゃけファンペルシーだろうが、シャマフだろうがベントナーだろうが誰でも来やがれ、って感じなんですけどね。
システムはメンバーから考えるに、いつも通りの4-3-3または4-2-3-1、4-1-4-1。
ところが蓋を開けてみればビックリの6-3-1でありました。

元々ベンゲルがカンプノウで、どういうスタイルのフットボールを展開してくるのか、ってのには注目が集まっていたじゃないですか。
信条とするパスサッカーで対抗してくるのか、それとも引き分け狙いで守りを固めてくるのか。
個人的にもやっぱりそこは注目で、出来る事なら両チーム共にアイデンティティーを前面に押し出したファンタスティックなフットボールで戦って欲しかったのですが、残念ながらガナーズにそれは出来ませんでした。
前半の彼等はマイボールになって攻める気を出してようやく4-2-3-1、ディフェンスの時には6-3-1もしくは7-3-0と呼んでも良いぐらいの引きっぷりでした。
そしてこのディフェンスの時間が前半の殆どだったんですから、酷いもんです。
ガナの前半のシュートは0、ポゼッションも3割がやっとだったでしょう。

4枚のバックラインに、中盤両サイドのロシツキーとナスリがさながらサイドバックの様に下がって守り、はたまた中盤の底のディアビやウィルシェアもDFラインに吸収される時間帯もあったんですから7バックと言われても否定出来ないでしょ。
撃って出て欲しかったので、非常に残念でした。

さてそんなアーセナルに対するバルサの攻めは、というと前半は若干カタかったかな〜。
やっぱり多少の緊張ってのはあるんでしょうね、1つのミスが全てを台無しにするノックアウトラウンドですから。
どうしても慎重になってしまう所はあったでしょうか。
カタかったのと相手がゴール前にバスを並べてきたのとで、中々ゴールを割れず。
アルムニアの好セーブもあったしね。
突然のGKの負傷による出番でしたが、流石はベテランきっちりと抑える所は抑えてましたよ。
クレ的な視点で言えばアルムニアって相性が良いイメージがある(パリの決勝でもレーマン退場後に出てきて逆転出来たし、昨季もゴレアーダ)ので出てきた時はシメシメって思ったんですが。
観客に目の前で野次られながらも(スペイン語わかるしなぁ)良く頑張ってましたよ(苦笑)

それと両CBも良い働きでしたね。
正直我が軍のブスケ&アビダルの急造コンビ以上にジュル&コシエルニーのコンビは穴だと思ってたんですが、見くびり過ぎでした。
1st legそして今日と中々頑張っていたよ。
ジュルなんて三流ディフェンサのイメージしかなかってんけど成長したもんやね。
スピード、強さ、読み、どれも悪くなかった。
ベンチにスキラチを追いやってんのも頷けるわ。

そんなこんなで苦しい試合やな〜という前半。
パスは繋がるし、チャンスも作れてるし、ワクワクする攻めも見せてくれてるし、文句をつけたらバチが当たるぐらいの出来なんですが、若干のカタさと相手の守りの良さで0-0で折り返しか、と思っていたロスタイム。
やってくれましたよイニエスタ、そしてメッシ!!!!!!!
こういう苦しい状況やと、やっぱりスーパーなプレーが必要やったのよね。
スーパーなキープからスーパーなパスを出したイニエスタ。
そしてスーパーな動き出しでGKと1対1の状況を作り、スーパーなアイディアでGKを抜き、そしてスーパーな技術でネットにボールを突き刺したメッシ。
スーパーなんて言葉は凄くチープですが、スーパーなもんはスーパーなんだよ。
こんな崩しされたらガナサポも納得するしかないでしょ、っていうゴラッソ。
素晴らしかった。
鳥肌たった。
朝方絶叫してもた。
前半ロスタイムという絶妙な時間帯に、トータルスコアで勝ち抜けが決まる貴重なゴール。
もうこれで決まりでしょ!
これで決まるのが美しいでしょ、そう思わせてくれました。

しかしながらゲームは簡単には終わりません。
舞台は白熱の、手に汗握る心臓に悪かった後半へと移ります。

それを仕掛けてくれたのは味方の筈のブスケ(苦笑)
ナスリのCKを見事に頭で合わせて、バルデスが守るゴールへ。
これで1-1の同点、試合は振り出しに、ではなくトータルスコアではガナがリード。
バルサは2点目を決めても延長戦に持ち込める、ってだけのもので最低でも3点目まで必要になりました。
しかもガナの2点目に怯えながら・・・。
そうなんです、これがアウェイゴールルールの恐ろしい所であり楽しい所。
もしガナが2点目を決めようもんならバルサに必要な得点は4になってくるんですよね〜。
この試合展開なら2失点目の心配はまず要らない、ってなもんなんですがフットボールってのは可能性が無い状態からでも得点が入ってしまうという特異なスポーツなんです。
それは奇しくもブスケの自殺点が証明したばかりですし。

というわけでここから先は寿命が縮まる想いで観戦。
ガナのチャンスもとい攻撃に転じるような場面すら無かったけど、特にファンペルシー退場後はより顕著になかったけど、それでもハラハラドキドキは止まらず。
超眠たい状態で生観戦、夜中っつうか明け方だし本来なら眠たい筈なんですが目は冴えまくり。
何故こんなに瀬戸際な気分になっていたのか、っていうのを考えてみるとバルサが圧倒的に、それこそ考えられないぐらいに圧倒的に攻めてたからですわ。
トータルスコアで同点となるチャビのゴール、そしてペドロが獲得してメッシが決めたペナルティによる逆転ゴール。
(得点シーンもそうだけど、とにかく全ての場面でイニエスタ最高!!!)
この2つのゴールは連続して産まれたんですけど、それ以外の時間帯も攻めまくってたからね。
もうハーフコートマッチだとか大人と子供の試合だとか、酷い形容がいくらでも見つかるぐらいにね。
だからこそ、これで負けたらシャレならん、と。
昔は良い内容だったら負けても別に構わない最低の内容で勝った方が恥ずかしい、なんて思ってたけど最近はノックアウトラウンドは別物、という発想になってきました。
これだけの完璧な内容のバルサがベスト8に進めず、これだけ最低なアーセナルがウェンブリーへの歩みを進める、なんて考えただけでも虫酸が走る。
だからもう終盤は、こんな真冬なのに汗ダラダラですよ。
冷や汗ですが。
アウベスが最高の決定機を作り、そして呆気なく外す、というのを繰り返す度にこっちの心臓もアップサイドダウンでしたわ。
86分過ぎ、自陣での軽率なミスからベントナーに決定的パスが通った瞬間なんて前半のメッシのゴラッソ以上の絶叫でしたわ。
危うくあれで今シーズンの全てが台無しになる所でしたよ。
マスチェラーノよく戻った!!
直前のサラゴサ戦も良い出来でしたが、この2試合でクレのハートを鷲掴みにしたんじゃないでしょうかね。

という訳で内容的には圧勝、スコア的にも圧勝、昨季メッシが爆発した2nd legよりも相手を完膚無きまでに叩きのめしたと思うのですが、コッチの余裕は昨季とは比較にならんぐらい無かった。
昨季はベントナーの先制点が決まった時点でも「あ〜構へん構へん余裕余裕」ってなもんやったのにね。

結果的にこれだけ愉しませてくれたので何の文句もないんですけどね。
負けてたらホンマ、アウベスA級戦犯やったで。
1st legでのポカも含めて。
そうならなくて良かった良かった。
外してたのはアウベスよりも実際はビジャの方が多かったと思いますし、GKを病院送りにした殺人FKも評価として認めるべきかな、とは思いますけど。
まぁそもそもあれだけのチャンスメイキングに貢献してたわけですから、非難されるのはお門違いって見方も正論ですし。

ベンゲルが試合後どんな言い訳をしたのか興味深いね。
結局シュート0でしょ?
まさかそんな事になるとは試合前誰も思ってなかったでしょうね。
どうせ審判のせいにするんでしょう。
ファンペルシーの退場がどうとか、PK判定がどうとか。
正直ブサッカさんは微妙な判定が多くて、最低な出来でしたけどファンペルシーがたとえおっても結果は変わってなかったでしょうな。
勝ったこちらからの超上から目線で言わせていただけるなら、審判という言い訳が出来てむしろ良かったやん、ぐらいのもんです。
(ただね〜、前から言ってるけど笛が鳴った後でプレーしたから黄紙っていうジャッジは世界的にホンマに無くすべきやと思うんですよ。
何回も同じ事書いてるから重複するけど、も一回書きます。
遅延行為って言うけど別に時計戻せば良いだけだし、実際に笛なんて聞こえない場合もあるでしょ。オフサイドギリギリのプレーなんかで審判を気にしながら縮こまったプレーをされるぐらいなら、そんなん気にせずダイナミックにプレーしてほしいんですよ。まぁ今回に関してはファンペルシーが直前にイライラしまくってたっていう"前科"があっての事なんで印象悪かったんでしょうけど)
守備的戦術に関しては意図してそうしたのか、攻めたかったけど攻められず結果ああなってしまったのかは不明ですが、いずれにしてもその辺りの言い訳も聞き所。
もし最初から守備を想定してたなら右SH(という名の第2の右SB)の先発はロシツキーではなくエブエだったかな、とは思いますが。

それにしてもガナは何であんなに崩されまくっていたのでしょうか。
勿論バルサが素晴らしかったのもあるけど、普通あれだけゴール前を固めたならばそうそうピンチなんて作られないもんでしょ。
哲学としてそういうスタイルに慣れてない、って事なんでしょうかね。
チェルシーあたりだとすんなりやれるスタイルだと思いますが。
それなら自分達の信条とするフットボールを(どうせなら)やったら良かったのに。
中途半端なプレッシング、中途半端な時間稼ぎ、中途半端なラフプレーではね。
カンプノウ初帰還となったのに、怪我の影響もあって結局ノーインパクトに終わったセスクがチョット不憫でもある。
別にセスク派ってわけでもないし、彼の(バルサへの)移籍問題については素直にYESともNOとも言えない感じなんですが本来のチカラを存分に発揮させてやりたかった、っていう変な親心はある。

さて次はベスト8。
とりあえず来週の試合終わるまで抽選会もまだなんで全く展望もクソもないけど、とにかく今の時点では良かった良かった、であります。